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執筆者の写真豊田

美的価値と武的価値

日本刀は手づくりの製品のなかでも、とても性能にバラツキがあります。

たとえば三人しか斬れないとか、すぐ刃こぼれして使い物にならないとか、

素振りしただけで折れた( 大慶直胤)と言う話もあります。

逆に荒試し(刀の強靭さをテストするために、乱暴にあつかう)で、

石灯篭を斬ったり、金床に叩きつけたりして、折るまでに6日かかった、

と言う記録があったりして(山浦真雄)。

鉄筋を斬っても、何ともない刀もザラにあります。

自分の経験では、簡単に刃こぼれするわけではなく刃同士が当ると

必ず刃こぼれするが、兜を思い切り叩いても大きな刃こぼれはしないぐらいです。

基本的に、良い刀は案外頑丈です。

 弱い部分は峰と鎬の面です。峰は棒などで強くたたくと、反対側の刃の

部分に垂直に刃切れと言うヒビが入ります。

もっと悪ければ折れます。

水心子正秀の刀剣実用論では「愚老も数度ためし候に棟の方より打候ときは

たとえば硝子を折るがごときものにござ候らえども、素人は、かくまで

脆きものとは知り申さず」と書いています。

まあ、良い刀を巧く使えば、強力な武器ではありますね。

現代では、美術品としてのみ存在が許されている日本刀ですが

刃味を第一とする刀匠さんも居られます。

美的価値と武的価値は両立しないと言われています。(あくまで水心子正秀の意見)

地肌、沸、匂、映り等の美しさか斬ることに専念した飾らない機能美か

 あなたはどちらを優先しますか?




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